在宅医療アドバイス


SCD・MSAをはじめとする難病患者さんの災害時の対応

監修:国立病院機構 静岡富士病院 院長  溝口 功一先生

災害時の難病患者・障害者支援について

2011年3月11日東日本大震災が東北地方を襲いました。その後も、2014年8月20日、広島市の豪雨による土砂災害、2016年4月14日、熊本地震、同年8月31日、岩手県岩泉町小本川の氾濫による水害、同年10月21日、鳥取県中部地震、さらには、同年11月22日、福島県沖地震など、日本各地で様々な災害がおこっています。

歩行障害などによる生活困難を抱えている、SCD・MSAなどの神経難病患者や障害者は災害弱者であり、災害に対しては、様々な支援が必要であることは明らかです。2005年度以降、厚生労働省の難病患者を対象とした研究班では、新潟大学脳研究所 臨床神経科学部門 神経内科学分野 教授の西澤正豊教授(当時)を中心として、災害対策を重要な柱として取り組んできました。こうした成果を踏まえて、2008年、西澤教授(当時)により「災害時難病患者支援計画を策定するための指針」が作成されました。この指針は行政機関が平常時および、災害時における難病患者支援計画を策定する目的で行政機関に配布されました。その後も、災害対策に関する研究は継続されていますが、なかなか進んでいないのが現状です。

社会的には、東日本大震災後の2013年6月に災害対策基本法が改正され、災害対策のあり方が変化してきています。一方、2013年4月に「障害者総合支援法」、2014年5月に「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が成立し、難病患者さんを取り巻く環境も大きく変化してきました。

本項の目的は、難病患者さんや障害者を援助・支援されていらっしゃるみなさんが、こうした方々を災害から守るために、平常時や災害時に支援する方策についてそれぞれの立場から考えていただくきっかけになるよう記したものです。

(原稿執筆 2017年2月)