SCD・MSA相談Q&A
脊髄小脳変性症(SCD)・多系統萎縮症(MSA)と診断された患者さんやご家族の方々は、病気や診療などについて、知りたいことやわからないことが、いろいろあるかと思います。
そこで、これまでSCD・MSA治療を専門とされる先生方に、寄せられた質問とそれに対する回答を掲載致します。SCD・MSAに対する疑問や不安の解消の一助となれば幸いです。
Q&A
ご質問内容をグループ分けしていますので、まず、ご覧になりたいご質問内容を下記よりお選びください。
質問内容(Qの部分)をクリックすると回答内容(Aの部分)が表示されます。
ご質問の項目を選択してください
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基本的に多系統萎縮症は、ほとんどが孤発性ですが、まれに家族性で同一の家系内の複数の人に発症することがあります。また、脊髄小脳変性症には小脳失調症以外に多系統が障害される病型がいくつもあります。
したがって、叔父様の脊髄小脳変性症の原因疾患名をお聞きになり、お父様の主治医にそのお話をして、相談してください。遺伝子検査など必要な検査を行って、説明してくださるものと思います。脊髄小脳変性症や多系統萎縮症の遺伝子検査は厚生労働省の研究班によるJ-CATに登録して行ってもらうことも可能ですので、主治医にご相談ください。
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脊髄小脳失調症2型(SCA2)は、常染色体優性遺伝を示す病型で、小脳失調の他、眼球運動障害、不随運動など多くの症状を伴うのが特徴です。
1)ご指摘の通りです。一般的にある病気の発病とは、患者さんが「体に異変を感じる」自覚的な症状、あるいは医師の診察による他覚的な所見によって、医師が発病と判断した時点を指します。
2)CAGの繰り返しの数が多いほど、発症年齢は若く、症状も強い(表現促進現象)ことが分かっています。一般的に、親から子へ世代を経るごとに、CAGの繰り返しの数は増えるといわれており、それが「表現促進現象」の要因と考えられています。したがって、親子であれば子のほうが「量」が多く、症状も重篤である可能性が高くなります。同じ世代であれば、同じような「量」と想定されますが、程度の差はありますが個人差もあるため、ふつう全く同じにはなりません。 -
まず、一般論として脊髄小脳変性症で症状が確実に一定期間にわたって改善することは有りません。変性という病気のメカニズムから、非常に緩徐であっても病態も症候も進行します。
次に、お嬢様つまりこの患者さんの場合ですが、ここに記載されている出来事、すなわち交通事故による頭部外傷、脳出血を伴う脳障害、それによる右上下肢麻痺、体幹機能障害、構音障害、嚥下障害などは全て、交通事故の後遺症で無理なく説明でき、構音障害・嚥下障害の改善、治癒はそれを裏付けています。下リーブ核の仮性肥大があったとしても、それも血管障害など急性病変に伴う方が多いと思われます。したがって、脊髄小脳変性症という根本治療が不可能な病態ではなく外傷後遺症という治療可能な病態として適切な治療をきちんと行うことが大切と思います。
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家族歴が明らかであり、MRIの所見、ふわっとする自覚症状、眼振という他覚的所見、主治医の言葉からも脊髄小脳変性症を発症されている可能性は否定できませんが、主治医に経過をしっかり観察してもらうことが大切です。
診断の確定は、画像所見以外にも様々な症候や検査結果をみて総合的に行われます。主治医がまだ脊髄小脳変性症と診断していないとすると、それなりの理由があると思われますので、主治医に相談してみたらいかがでしょうか。
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脊髄小脳変性症においては、小児期に発症する病型や、世代を経るごとに発症時期が早まる病型があります。
また、脊髄小脳変性症以外にも、小脳萎縮を呈する疾患は、自己免疫性、アルコール性、甲状腺機能低下症に伴う場合など多数ありますので、神経内科専門医にてきちんと鑑別診断を受けることをお勧めします。その結果やはり脊髄小脳変性症であろうとなり、小児期発症の場合は遺伝性のことも多いので、診断確定のために遺伝子検査が必要になる可能性があります。その場合、厚生労働省の運動失調症研究班のコンソーシアムJ-CATでも遺伝子検査を行ってもらうことができます。
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脊髄小脳変性症の症状の進行には個人差があり、遺伝性脊髄小脳変性症であっても、必ずしも発症されたご家族と同じ経過を辿るとは限りません。
一般的に脊髄小脳変性症は、比較的緩徐に進行することが知られていますが、中には比較的急速に進行するものも有ります。お祖母様、お母様も同様の症状とのことですので、常染色体優性遺伝性の疾患が考えられ、遺伝子検査で診断が確定すると思います。なお、手の力がなくなると書いてありますが、脊髄小脳変性症では珍しい症状です。この脱力と思われる症状も主治医に良くお伝えください。
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お子様が遺伝性の可能性を検査したいとお申し出の場合は、臨床遺伝専門医に相談のうえ、遺伝子検査などを含めて詳しい説明を受けることをお勧めします。お父上が診てもらっている病院が近ければその主治医に相談して紹介してもらうのがよいでしょう。臨床遺伝専門医のいる病院はWeb上でも検索できますが、お近くで神経内科の専門医のいる病院から探してもらうことも可能と思います。
お子様のように発症前に行う遺伝子検査では、臨床遺伝専門医と十分に話し合い、検査の特徴、メリットとデメリットを良く理解し、遺伝性と判明した際の対処などを合意の上で実施することが大切です。
遺伝子検査自体は、採血のうえ想定される疾患により適切な手法で遺伝子解析を行い、脊髄小脳変性症で既知の遺伝子異常が認められるかを確認します。検査結果の判明まで数週間〜1ヵ月以上掛かる場合もありますので、検査を受けるときによくご確認ください。 -
ご主人の祖父と母がSCDを発症していることより、常染色体優性遺伝性SCDと推測されます。片方の親が常染色体優性遺伝性SCDの場合、子供に遺伝する確率は常に50%であり、世代を重ねてもその確率は変わりません。すなわち、遺伝した回数が多くなっても、子供に遺伝する確率は上がりません。
ご主人やお子様への遺伝がご心配な場合は、ご主人と一緒に臨床遺伝専門医に相談のうえ、遺伝子検査などを含めて詳しい説明を受けることをお勧めします。
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御母様の心筋症と脊髄小脳変性症の疑いについて、ご心配のこととお察し申しあげます。確かに2つの疾患がたまたま合併した可能性が高いと思いますが、脊髄小脳変性症そのものは命にはほとんど影響しないタイプではないかと思われます。
すでに循環器の専門家には受診中と思いますが、まず神経内科の専門医にも診ていただき診断を確定してもらうことをお勧めします。まれですが、ミトコンドリア病では心臓と小脳が共に障害されやすいのでよく診てもらって下さい。
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一般的にSCD・MSAの『発病』とは、自覚的な症状及び医師の診察による他覚的な所見によって、医師に確定診断された時点を指します。
別の言い方では、SCD・MSAによると思われる症状が初めて出現したときとも言えます。神経内科専門医でなければ確定診断が難しい疾患ですので、自覚症状があり他科の医師の診察を受けていても長期間診断が確定しない場合があると思われます。
なお、「発病後10年以内に死亡」という記載ですが、基本的にSCD・MSAの経過は緩徐進行性であり、直接的な死因になる疾患ではありません。実際に、発病後、10年以上生存している患者さんも多数おられますので、医師の治療やアドバイスを受けながら長期間この病気と付き合うという捉え方が望ましいかと存じます。 -
SCDの病型によっては、2歳程度の小児時期に発病するものもあります。
具体的な病型をお伺いしておりませんので、断定的なことは言えませんが、遺伝性SCDである歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症などは顕著な表現促進現象(世代を経るに従い発症年齢が若年化する現象)が認められることが分かっています。
小児神経内科や神経内科の専門医に相談のうえ、病型を確認し、適切な治療、療養生活のご相談をなさることをお勧めします。 -
「家族歴から」とは家族歴が陽性ということ、また「所見」とは診察所見でしょうか。その前提で考えますと、非常に特殊な病型の場合、診断がほぼ確定することがあります。
しかし、医学では、一般的にある疾患においてある症状が出にくいということはありますが、100%出ないと言い切ることはできません。診察で得られた診断については、様々な検査にて確認するのが普通です。とくに遺伝性疾患では遺伝子検査を行わないと診断が確定しません。現在では、厚生労働省の研究班を介して診断や遺伝子検査のサポートを受けることも可能です。
診断を確認する方法として、セカンドオピニオンにCTやMRIによる画像診断や遺伝子検査を依頼することをお勧めします。
診断された病型に該当しない症状が不明ですので、明確にお答えできませんが、現在は画像診断技術の進歩と遺伝子検査により、SCDの診断はかなり精度が向上しています。
下記ホームページで、遺伝子医療や遺伝カウンセリングを実施している施設を検索できます。◆「登録機関遺伝子医療体制検索・提供システム」全国遺伝子医療部門連絡会議
http://www.idenshiiryoubumon.org/search/ ※上記URLをクリックすると外部サイト「『登録機関遺伝子医療体制検索・提供システム』全国遺伝子医療部門連絡会議のホームページ」へ移動します。
「疾患分類を選択」という項目から<神経・筋疾患>、小疾患カテゴリ<神経変性疾患>を選択。 -
脊髄小脳変性症という診断について別の病院で意見を聞いてみたいと言うことですので、いわゆるセカンドオピニオンをご希望なさっていると理解いたします。
その場合、現在の主治医にご希望を伝えて紹介状や資料を準備してもらうことになります。セカンドオピニオンは現在の病院での診察所見、検査結果などに基づいて依頼された医師が意見をお伝えする制度です。再入院あるいはどのような検査が必要かも含めて回答が得られると思います。
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脊髄小脳変性症の出生前遺伝子検査は、実施の是非に関して賛否両論あり、検査を行っている病院も限られていますので、希望すればいつでも受けられるわけではありません。
また、病気の重篤度や検査希望者のご事情などは、一律ではなく個々のケースで異なりますので、検査の詳細を含めて大規模病院の遺伝カウンセリング外来で相談することをお勧めします。
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正常圧水頭症など脳外科手術が必要な疾患ではないとのことですので神経内科の受診をお勧めします。主治医に、神経内科のセカンドオピニオンを希望していることを申し出て、紹介状の作成と、適切な施設を教えていただくとよいでしょう。
患者さんにとって、自身がどんな病気で、どのような治療法があるのかをよく知ったうえで適切な診療を受けることは非常に大切です。主治医には切り出しにくいかもしれませんが、「他の専門医の意見も聞いてみたい」と正直に伝えて、セカンドオピニオンを紹介してもらいましょう。
セカンドオピニオンでは、普段からの疑問を整理して、具体的に相談すると適切な回答を主治医に返してもらえると思います。 -
ご質問文からは、起床時は「体幹がおかしい」とのことで「おかしい」内容がわかりませんが、夜間頻尿も含めて、原病と関係がある可能性は十分あると思います。
主治医に神経内科を紹介してもらい、適切な検査を行ってご質問へのお答えを含めた診断を確定し、それに基づく治療を受けることをお勧めします。
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確かに、パーキンソン症状を呈し、最初はパーキンソン病にそっくりでお薬もかなり有効であって、後にMSAであることが判明することがあります。
また、中には進行が非常に早いこともあります。発汗に関しては基本的には低下しますが、機能が残っているところで強く発汗しているのかもしれません。このような自律神経機能検査、呼吸検査、脳MRI、脳SPECT、心臓SPECTなどにより、疾患の診断とともに、障害がどの程度進んでいるかが相当よくわかります。
救急病院の外来を受診しておられるのではないと思いますが、一度、入院し詳しく検査をしていただくことをお勧めします。 -
それまでなかった、足のふらつきや喋っているとろれつがまわらない時が出てきたとしますと、脊髄小脳変性症である可能性は十分あると思います。
お父様が脊髄小脳変性症という診断を受けておられたとすると遺伝性の可能性もあります。まず、そのことも主治医に伝えてください。脊髄小脳変性症に限りませんが、現在、神経変性疾患を根本的に治す方法は知られていません。
ただ、リハビリテーションなど身体的トレーニングがふらつきなどに有効であることも知られていますので、主治医やリハビリテーション医、療法士などのアドバイスにしたがって継続されることをお勧めします。
全国SCD・MSA友の会からリハビリテーションに関する本が出版されていますので、ご参考にされるとよいと思います。 -
脊髄小脳変性症の遺伝子検査は、現状では健康保険が適用されません。
費用は病院によって異なり、研究として調べるために無料で行われている場合もあれば、数万円以上の費用がかかる場合もありますので、実施施設にご確認ください。
なお、厚生労働省の「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」ではJ-CATというコンソーシアムを運営しており、遺伝子検査を含めたサポートを受けることができるようです。その場合、主治医の先生にお願いして申請していただくことが良いと思われます。 -
飲酒がSCDやMSAの要因になることはありません。
ただし、アルコール依存症および大量飲酒者には小脳萎縮が高い割合でみられ、飲酒は小脳失調症状をより悪くします。どれくらいの飲酒量ならばよいかということについては、主治医にご相談ください。
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婚約者の方が既に遺伝子に異常がないと診断されているのであれば、通常子供には遺伝しないと考えられます。
脊髄小脳変性症(SCD)には多様な病型があり、大きくは遺伝性と孤発性に分けられます。婚約者の親族の方々がSCDを発症していることより、常染色体優性遺伝性SCDと推測されます。片方の親が常染色体優性遺伝性SCDの場合、子供に遺伝する確率は50%になりますが、婚約者の方が既に遺伝子に異常がないと診断されているのであれば、通常子供には遺伝しないと考えられます。
ご心配な時は、婚約者と一緒に担当医あるいは臨床遺伝専門医から詳しい説明を受けるのが良いのではないでしょうか。 -
SCDには遺伝性と孤発性がありますので、たとえ遺伝子検査の結果が「異常なし」であっても、SCDの可能性は否定できません。
まず脊髄小脳変性症には遺伝性と孤発性がありますので、遺伝子に「異常がなく」ても、孤発性である可能性は十分あります。また、遺伝子の異常が判明していない病型もありますし、遺伝子検査では普通、全ての遺伝子変異を検出することはできません。したがって、主治医の先生にどの遺伝子変異を調べて異常がなかったのか確認して下さい。
わが国の遺伝性脊髄小脳変性症はSCA3、SCA6、SCA31、DRPLAの4種類で大部分を占めますので、家族歴がなくこれらの疾患が除外されるとすれば、遺伝性である可能性は少ないと思います。 -
MRI画像診断や遺伝子検査による確定診断を受けることをお勧めします。
脊髄小脳変性症(SCD)は主に小脳や脳幹の病気で、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)は末梢神経の病気であり、両者は異なる疾患です。しかし、時に末梢神経障害を伴う脊髄小脳変性症も存在します。
まずは各々の診断をしてくれた先生に、別の診断名についてもお伝えしてより詳細な説明を伺うことをお勧めします。それでもはっきりしないときは、主治医の先生にご相談の上、SCDあるいはCMTを専門とする大学病院等の神経内科にご紹介いただき診断を確定するのがよいと存じます。 -
SCDの約30%は遺伝性であることが分かっていますので、もし軽い何らかの自覚症状がある場合は、一度専門医の診察を受けることをお勧めします。
また、自覚症状が無い場合でも、診察やMRI検査などで異常が判明することもありますので、心配な時は神経内科専門医の受診をお勧めします。
家族歴がはっきりしないにもかかわらず遺伝子診断をするかどうかについては、専門医や遺伝カウンセラーとよく相談の上、検査するべきかご判断することをお勧めします。 -
検査は積極的に受けて頂き、病型を明らかにしておく方がよいと考えられます。
SCDの約30%は遺伝性であることが分かっています。多くの症例の原因遺伝子は判明しましたが、まだ一部は不明であり現在研究が進められています。しばしば間違えやすいのですが、原因遺伝子が判明するということと、その異常を治療できるということは必ずしも一致しません。
しかし、疾患の診断が遺伝子レベルで確定するということは、患者さんの症状を詳しく理解し先々の見通しを立てるためにもとても役立つことです。さらに、疾患の理解が深まり、SCD患者さん全体のためにも大きく寄与すると期待されます。
従いまして、検査は積極的に受けて頂き、病型を明らかにしておく方がよいと思います。 -
今後のことを考えると、病型まで診断してもらうことは望ましいといえます。
脊髄小脳変性症の治療も少しずつ進歩しています。今後、新しい薬や治療法が開発された時のことを考えると、現段階で病型まで診断してもらうことは望ましいといえます。
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母が晩発性小脳皮質萎縮症と診断されました。主治医は「天寿は全うできますよ」と言っていましたが、それは日常生活動作(ADL)が自立し続けているという意味も含まれているのでしょうか? [ 答えを閉じる ]
晩発性小脳皮質萎縮症(LCCA)は症状の進行がやや遅いといわれています。
晩発性小脳皮質萎縮症は孤発性SCDの一種であり、同じ孤発性の多系統萎縮症よりも症状の進行はやや遅いといわれています。
小脳失調症状以外のパーキンソン症状や自律神経症状を示さないため、歩行時のふらつきなどの運動失調症状は徐々に進行しますが、比較的長期間ADLは保たれる可能性が高いことから、そのような主治医の説明に至ったと思われます。
ただし、症状の進行には個人差があり、最終的には車椅子生活になる方が多いと思われます。 -
経過をしっかり見るようにしてください。
奥さまは、MSAのなかのオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)と診断されたそうですが、OPCAの主な症状として、自律神経症状が挙げられます。自律神経が障害されると、血圧や脈拍の異常、排尿障害、発汗低下などが生じます。
主治医の診断では重篤な状態ではないとのことですので、経過をしっかり見るようにしてください。
万一、症状が悪化する場合は、主治医に相談のうえ、不整脈に対する治療も検討するようにしてください。 -
個人差もあり明確にお答えすることができません。
SCA3は、マシャド・ジョセフ病とも呼ばれ、原因遺伝子中のCAG反復配列の異常伸長が原因であるポリグルタミン病の一種です。
万一、お子さんに遺伝している場合、一般的にCAG反復配列の異常伸長の度合いが長い程、また世代を経るたびに(特に父親由来の場合)発症年齢が早まる傾向があると言われていますが、その具体的な発症時期については個人差もあり明確にお答えすることができません。
より詳細な診断等については、主治医にご相談することをお勧めします。 -
歩行困難になる可能性は高いといえます。
MSAにも、多くの病型が存在し、発症初期の症状は様々ですが、共通の症状として歩行障害があげられます。したがって、長期的にはどこかの段階で歩行困難になる可能性は高いといえます。
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逆流性食道炎は、胃と食道の間の弁を閉める下部食道括約筋の筋力が低下することが主な要因で、脊髄小脳変性症と関係なくよくみられる疾患です。
脊髄小脳変性症でも、自律神経障害を伴う病型があるので、逆流性食道炎を伴うことも有るかもしれませんが、よくある症状ではありません。したがって、たまたまの合併である可能性が高いと思われますし、逆流性食道炎の治療をきちんとすることで治癒すると思われます。
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脊髄小脳変性症は体幹のバランスが保てなくなることが主な症状ですので、座位が保てずに上半身が動揺しひどいと支えなければ転倒することもあると思われます。上手くしゃべれない構音障害も良くある症状ですが、寝言のような喋り方ということですので、眠気のためかも知れません。したがって、ご質問のような過眠は珍しい症状と思います。
自律神経症状として睡眠時無呼吸症候群の症状や排尿障害が存在する場合、それらにより安眠できずに日中の眠気が強くなっている可能性がありますが、主治医に相談して入院してよく調べてもらうことをお勧めします。また、その一環として脊髄小脳変性症を来している原因疾患の診断をきちんとつけることも必要です。
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SCA3であっても、必ずしもびっくり眼の症状が現れるとは限りません。
SCA3は世代が若くなる毎に発症年齢が若くなる表現促進現象があり、比較的若年〜中年で発症する病型です。SCA3の主な症状としては、眼振、眼球運動制限、小脳失調症、錐体路徴候(痙性)、びっくり眼を含むジストニアなどが挙げられ、どれが主体かで幾つかの病型に分かれます。ただ、一人一人の患者さんの症状とそれらの進行は様々で、ある病型でもそこで記載されている症状が全て出現するわけではありません。
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脊髄小脳変性症のふらつきや転倒などの歩行障害が目立つ場合は、足におもりをつける(250〜500g)、靴底を重くするなどの対処法があります。
それ以外にも、足首やひざにサポーターを巻いたり、胴に伸縮性のコルセットを巻くなどの工夫でふらつきが減少する場合もありますので、リハビリテーション科の理学療法士などにご相談することをお勧めします。現在お掛かりの主治医に相談すれば紹介してくれると思います。それらでも改善されない場合は、杖や歩行器が必要かもしれません。
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お申し出の症状や家族歴から、脊髄小脳変性症の可能性を否定できません。
主治医に神経内科を紹介してもらい、診断を確定し、それに基づく治療を受けることをお勧めします。早期受診により確定診断されると、症状を軽減する薬物治療やリハビリなど、様々な対処を早い段階で受けることができます。また、診断を受けていれば、医療費についても各種助成制度を利用することができる可能性があります。
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発熱によって脊髄小脳変性症の症状が進行するという明確な根拠はありません。
脊髄小脳変性症は主に小脳の神経細胞の障害により、緩徐に運動失調症状や自律神経症状などが進行する疾患です。したがって、自律神経障害の進行による体温調節機能の低下、排尿障害による膀胱炎などが発熱の原因となることがあります。
何か心配なことがあれば、主治医に相談してください。 -
シャンプー中に急に発症していますが、MRIにて脳血管障害は否定的のようですので、SCA3によるめまいや吐き気の可能性があると思います。
めまいの関連した前庭、小脳などの検査を含めて、神経内科専門医に良く診てもらって下さい。その上で耳鼻科など他科との連携も含め適切な治療を受けることをお勧めします。なお、仰向けでのシャンプーはその特異な姿勢から脳血管障害を引き起こす可能性がありますので注意が必要です。
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皮質性小脳萎縮症は、単一の疾患というよりは、孤発性で多系統萎縮症ではない脊髄小脳変性症の総称と考えられています。
一方、遺伝性疾患でもたまたま家系内で発症が確認できなかったり、親からの遺伝でなく突然変異で発症することもあります。したがって、皮質性小脳萎縮症でも遺伝子検査にてSCA6、SCA31などの遺伝子変異が見つかることはあります。遺伝子検査をして変異が見つかった場合、次の世代に遺伝する可能性が明らかになりますので、検査の前に主治医の先生とよく相談することを勧めます。
皮質性小脳萎縮症は、以上の説明でも想像できますように、あまり手がかりが無く、その原因解明はほとんど進んでいないのが現状です。 -
お申し出の「転ける」、「手に力が入らない」、「字がうまく書けない」、「箸が使いづらい」という症状からは、何らかの神経疾患の可能性を否定できません。
以前の脳検査をいつ頃お受けになったのかが定かではありませんが、その時点以降で何らかの病状が進行している可能性、あるいはその脳の検査に異常の出ない疾患の可能性もあります。主治医に神経内科を紹介してもらい、適切な検査を行って診断を確定し、それに基づく治療を受けることをお勧めします。
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わが国のSCDで糖尿病と直接的な関連性があるものはありません。糖尿病では脳卒中や末梢神経障害など神経の障害が多いので、運動失調症状の鑑別疾患として大事です。神経内科の専門医を受診して、この場合の両者の関係を伺って下さい。
なお、白人に多いFriedreich失調症では糖尿病の合併がありますが、この病気は日本人には見られません。関連しますが、ミトコンドリア病では小脳障害、難聴、視力低下などと並んで糖尿病もよく見られるので注意が必要です。
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脊髄小脳変性症の症状として、腰や首の震え(振戦)、筋肉の突っ張りなどの症状が現れることがあります。
また、若年層での発症率についてはよくわかっていませんが、常染色体劣性遺伝性の脊髄小脳変性症では小児期に発症するものが多く、常染色体優性遺伝性でも表現促進現象(世代を経るに従い発症年齢が若年化する現象)により小児期に発症する病型があります。
まず、神経内科専門医を受診し、正確な診断をつけることをお勧めします。 -
「よく見えない」程度が分かりませんが、加齢に伴う白内障や緑内障などがたまたま合併している可能性があります。まずは、眼科で見てもらって下さい。
SCDそのものが原因で、失明することはありませんが、まれに視力低下を伴う病型があります。またSCDでは、眼球を動かす神経の障害で、物が二重に見えたり、揺れて見えたりすることがあります。
眼科と共に神経内科の専門医にご相談することをお勧めします。 -
苦しそうに見える要因が呼吸障害である場合は、人工呼吸器の使用、気道切開などの対処で、症状が軽減できる可能性があります。呼吸障害の緩和について主治医と相談することをお勧めします。
発汗過多については、別の部位の発汗減少の代償のこともありますので、まずは主治医の先生によく伺って下さい。体温調節障害による発汗については、衣類の交換を小まめに行ったり、室温の調節、汗腺が塞がらないよう体の清潔を保つ、水分の補給が大切です。
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文面からは、3年以上前から尿漏れ(尿失禁)があり、3年位前からふらつきがあり、脊髄小脳変性症と診断されたと思われます。
SCDの中でもマシャド・ジョセフ病や、MSAでは自律神経障害がよくみられ、排尿の異常のほか、立ちくらみや便秘、夜間のいびき、睡眠中の無呼吸、発汗の異常などが現れることがあります。症状は個人差が大きく、また全ての症状が現れるとは限りません。
普通、SCDに伴う排尿障害は手術の適用になることはありませんが、様々な治療薬が効くことがありますので、神経内科医の主治医や泌尿器科医とよく相談することをお勧めします。なお、大便の漏れ(失禁)は一回だけでしょうか。その場合はSCDではなく別の原因で手術が可能な場合もあると思われますので、主治医と良くご相談ください。
自律神経失調は自律神経の異常という意味であり、今回のような排尿、排便の異常を含みます。ただ、医学的には自律神経失調はまた良くなる(症状が消失する)など機能的な異常を指し、SCDに伴う場合など徐々に進行する場合は、自律神経不全と呼んで区別されますので、注意が必要です。 -
脊髄小脳変性症の病型によっては、運動失調の他に、性格変化や認知症が現れることがあります。主治医に病型およびそれによるものかどうかまで聞いて確認してください。
脳が痩せるという表現は、脳が「萎縮する」すなわち小さくなるということ、脳を構成する神経細胞の減少を意味しており、単に血管が細くなるということではありません。
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脊髄小脳変性症では眼球の動きが悪くなったり、細かく揺れる(眼振)ことがあります。
その結果、物が二重に見えたり(複視)、揺れて見えることもあります。また、脊髄小脳変性症でなくても眼精疲労といった症状は知られています。
まず、ご記載の「目が疲れる。すっきりしない。」がどういう状態なのかを主治医によく診てもらって、必要に応じて眼科の診察も受けて診断を確定して、治療を行うことをお勧めします。 -
SCDでは、骨格筋に直接的な痛みの症状が出ることはありません。
運動失調症状をカバーするための日常動作が、身体部位の負担になっている可能性があります。足首やひざ等の痛み症状の緩和は、日常生活をより長く続けるためにも大切ですので、主治医と相談の上、その診断と治療を優先した方が良いと思われます。
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小脳の変性(萎縮)が疑われます。
「横割で見るとシワ(線)が普通より多い」という表現の意味は、シワ(小脳溝)が普通より広く目立って見えるということだと思います。
これは小脳の表面(皮質)が萎縮した結果であり、小脳全体が小さくなって(萎縮して)いなくても、「ふらつき」という症状とも合致しており、変性(萎縮)の初期の可能性が十分にあります。 -
自律神経障害により、発汗や体温調節の機能が障害されることがあります。
自律神経のバランスが崩れると発汗をコントロールしている交感神経の機能が乱れてしまいます。そのため、汗の量の調節や体温の調節ができなくなります。
SCDによる発汗障害ではふつう発汗は低下しますので、今回のように発汗過多については主治医に相談してよく見てもらってください。汗をかいたときに気化熱で冷たく感じることはありますが、体温調節そのものの異常もあり得ますので、それもよく相談してください。
発汗低下の場合の対処法としては、暑い時には冷房のよく効いた室内で過ごす、冷えたタオルなどで身体を冷やすことが良いでしょう。
逆に、寒い環境では低体温が起こりやすいので、温かい衣服を着用し寒い環境を避けることなどの対策をお勧めします。 -
意識障害であれば薬物である程度コントロールできますので、主治医に改めてご相談ください。
SCDは病型と時期によって、さまざまな症状がでることがあります。頭が「ぼーっ」とするのが意識障害かどうか分かりませんが、専門家に聞いてみることもひとつと思います。
SCDとして記憶障害などの認知障害が起こる可能性もありますが、他の病気の合併ということもありますので、これも専門家にご相談ください。
主治医の先生からCTによる検査では認知症は大丈夫だとのことですが、認知症はCTやMRIでは診断できませんのでご注意下さい。 -
SCDは病気のタイプにより、様々な症状を認めます。耳鳴りの原因がSCDによるものかも含めて、耳鼻科の受診はひとつの選択肢と考えます。もしSCDであった場合は神経内科を紹介されると思われます。
また、ろれつがまわらなくなるのは、協調運動不良による言語障害(構音障害)の可能性が考えられます。
言語障害の治療法には、言語リハビリの方法があります。障害自体を治したり、改善したりはできないのですが、各々の症状を診断し、それをどのように克服あるいは代償していくとよいのかを示してもらい練習していくことで、話しやすくなる、相手に伝えやすくなるという効果を生むことができます。
主治医の先生によくご相談してみてください。 -
痙攣発作や意識障害の可能性があります。
オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)は、脊髄小脳変性症のなかでも比較的進行が早いことが知られています。
また、目を大きく見開いたり、呼びかけても答えないときは、痙攣発作や意識障害の可能性があります。発作や意識障害ならば薬物である程度コントロールできますので、主治医にご相談ください。 -
残尿が多いことによる頻尿、または過活動膀胱の疑いがあります。
頻尿の原因は、尿が出にくく残尿が多いため、もしくは膀胱が過敏になっているために起こっていると考えられます。
一般的に、脊髄小脳変性症では自律神経症状の一つとして、膀胱が過敏になって尿をあまり溜められない(過活動膀胱)症状が多く見受けられます。
残尿を減らす薬や過活動膀胱の薬があり、比較的対処が可能な症状となっていますので、主治医に診断してもらい適切な治療を受けることをお勧めします。 -
セカンドオピニオン等を受診されることをお勧めします。
現在(2013年)の情報から、発症より5年経過しているとすると、ほぼ小脳症状のみを呈する脊髄小脳変性症の可能性が高いと思われますが、もし診断についてご心配であればMRI所見や他の検査所見を含め、セカンドオピニオンを受けてみることはいかがでしょうか。
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具体的な処方薬剤名をお伝えいただいていませんが、一般的にどのお薬でも副作用が発現する可能性はあります。
「手の震え」がないのに「手の震え」の薬を出したのは、他に効果を期待してのことかもしれません。主治医にその点を良く聞いた上で、納得できた場合に服用するとよいと思います。その結果、期待した効果が無い、あるいは副作用が強い、といった場合には、主治医と相談してお薬の減量や中止をすればよいと思います。
また、SCDの運動失調症状を抑える薬剤もありますので、主治医に症状を詳細にお伝えして使用すべき薬剤についても相談することをお勧めします。 -
グルテンフリーの食生活によって症状が消失したのであれば、自己免疫性のグルテン失調症である可能性もあると思われます。
すなわち、脊髄小脳変性症ではない可能性もあります。食事に注意して気をつけて生活していただくとともに、必要であれば再度専門医に依頼して脊髄小脳変性症の鑑別診断を受けることをお勧めします。
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唾液が多いことに対しては、唾液を減らすお薬がありますので、まずはそれを試してみるとよいでしょう。
全身の緊張とは記載から判断すると痙縮のようですね。A型ボツリヌス毒素製剤は下肢にも使用可能ですので、上肢で有効なら主治医と相談のうえ下肢にも試してみてはいかがでしょうか。また、とくに下肢の痙縮に対する治療としては抗痙縮剤の髄注治療がありますので、主治医の先生に相談してみてください。
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外来による保険適用のリハビリ治療に対応した医療機関もありますが、脊髄小脳変性症のリハビリテーションはまだまだ一般的ではありません。
最初は入院して、運動機能の状態を詳細に検討して、リハビリテーションのメニューを決めてからリハビリを開始して、やり方をよく覚え、退院後は自宅で実施し、時々外来でもチェックしてもらうのが理想的です。
主治医がリハビリに消極的とのことですので、必要ならセカンドオピニオンなどを活用して他の神経内科医にご相談されて、リハビリを受療できる医療機関を紹介してもらうことをお勧めします。 -
脊髄小脳変性症では、自律神経症状の一つとして、頻尿などの排尿障害が現れることがあります。
現在、排尿障害に対する薬剤の効果がみられないとのことですが、残尿を減らす薬剤や過活動膀胱の薬剤がありますし、時には睡眠薬も有効なことがありますので、主治医によく相談することをお勧めします。
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介護保険によるデイサービスでは、食事・入浴や機能訓練を受けることができます。
しかし、治療などの医療行為は医師に委ねられているため、施設職員の指導内容には限界があります。必要であれば、主治医から「診療情報提供書」を作成頂き、通所施設での治療状況等の情報を提供してもらうことをお勧めします。
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ご自身の病型を把握し、神経内科医からそれに応じた治療やアドバイスを受けることが第一です。
SCDと診断を受けた直後は、誰でも精神的に落ち込み混乱するのは当然です。難病であることから、その状況を納得するのにも時間を要します。ただ、この病気は進行性ですので、気持ちが落ち着いたら、まずご自身の病型を正確に知ることをお勧めします。
詳しい診断を受けてそれに応じた治療を開始しましょう。
治る、治らないという基準で病気と向き合うのではなく、自分の個性として、病気と共存する、そして自分らしく生きる可能性を求めていく、そのためにできる治療法はたくさんあります。主治医の先生と十分相談して、病気と付き合うよい方法を見つけてください。
また、患者会でも同じような境遇の方がいらっしゃいますので、参加者と思いや悩みを共有することが、心の支えになると思います。 -
今後の研究結果によっては、臨床への応用が期待されます。
2012年より、厚生労働省難治性疾患等克服研究事業としてSCDを含めた運動失調症などの治療、リハビリにロボットスーツを医学応用するための研究が開始されました。その結果によっては、臨床への応用が期待されていますが、まだ研究・治験段階ですので、明確なお答えはできません。
しかし、ロボットスーツにより運動機能が回復する可能性も秘めており、今後の研究に期待したいと思います。 -
SCDの症状として、直接的に体重が減少することは考えにくいです。
但し、特定の病型においては筋力が低下するものもあります。詳しい病型について診断していませんので、断定的なことはいえませんが、SCDの主症状である運動失調が原因で、運動不足となり、筋力が徐々に低下し、体重減少に繋がった可能性も考えられます。
一定の体重減少で留まっているならば、日々の運動量やリハビリ療法を取り入れて筋力を維持または増強することで、体重の減少を抑制できる可能性もあります。ただ、詳細な診断および指導や体重減少が進むときは、主治医にご相談することをお勧めします。 -
薬物である程度コントロールできますので、主治医にご相談ください。
恐らく、自律神経症状の1つとして便秘が現れていると考えられます。便秘は、薬物である程度コントロールできますので、主治医にご相談ください。また、日常生活においても、繊維質の食べ物を意識的に多く摂ることを心掛けましょう。
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SCD・MSA治療薬の開発が進行中です。
現在、日本で認可されている薬は運動失調症状を改善する2種類だけであり、根治治療は困難な状況です。しかし、世界規模では数種類のSCD・MSA治療薬の開発が進行中であるほか、遺伝子治療や再生治療の研究も活発に行われており、今後日本初の新薬が出る可能性もあります。
しかし、いずれの新薬開発においても、臨床応用する場合には、治療効果や安全性の面で多くの基礎研究が必要です。それまでの間、疾患そのものは治せなくても、様々な方法により障害を軽くすることで生活の質を向上させることはできますので、そういった面にも視点を置いてみてください。
したがって、医師、国内外の研究者だけではなく、患者さん、ご家族、行政、製薬会社等の全ての関係者の緊密な協力が、新薬の早期開発の近道といえます。 -
基本的にはSCD以外の急性症状を優先して治療することをお薦めします。
あらわれた症状にもよりますが、SCDの治療は長期に渡るため、基本的にはSCD以外の急性症状を優先して治療することをお薦めします。
場合によっては、主治医と相談の上、リハビリを休止してでも、腰痛等の別の急性症状の悪化を抑えるため、その治療に専念した方が良いこともあります。
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ここでご質問の精神症状とは具体的にどのような症状でしょうか。主治医が認知症専門医と記載されており認知症の意味でしょうか。またお父様の現在の年齢と症状が出たときの年齢も不明ですので、かなり一般的なお答えになることをご理解ください。
MSAではパーキンソン病のような症状として頸部後屈が現れることがありますし、うつなどの精神症状、あるいはまれながら認知症がみられる事もあります。進行性核上麻痺でも、認知機能低下が目立つことがありますし、頸部後屈が目立たないこともしばしばあります。
両者の鑑別は、典型的な症状があれば比較的簡単ですが、ふつうはMRI、SPECT、自律神経機能などさまざまな検査を併用してはじめて可能となりますし、鑑別が難しい場合もありますので、必要に応じてセカンドオピニオンなどにより神経内科専門医に受診することをお勧めします。 -
嚥下障害の徴候が出てきた時点で、食事の工夫をする必要がありますが、食事の工夫とは大きく分けて「食べやすくする工夫」と「飲み込みやすくする工夫」があります。
食事の工夫の詳細は、当Webサイト内の「在宅医療アドバイス」の中に、栄養士からのアドバイスとして掲載していますので、下記URLをご参照されてはいかがでしょうか。
http://www.scd-msa.net/advice/detail/expert/05/
また、胃瘻ですが、食事のときの様子は診察室ではよく分かりませんので、主治医には現状を詳しく報告してご相談してください。胃瘻を造る時期、使用する時期などは、どれくらいの量を食べられるか、栄養状態、誤嚥の程度、現在の体力などを総合的に勘案して、ご本人や皆様と相談の上、決めることになると思います。 -
A1.多系統萎縮症でも足が重く感じたという訴えを聞くことがあります。ただ、歩行困難はむしろ足を動かしづらかったり、バランスが悪くなったり、血圧低下などによって出てくることが多い様に思われます。
A2.要介護認定を受けたうえで、地域の難病相談・支援センターに相談して、入居可能な老人ホームを紹介してもらうことをお勧めします。介護保険の在宅サービスとして、小規模な有料老人ホームに入居している人への介護[地域密着型特定施設入居者生活介護]などもあります。
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MSAでは感覚の症状は殆ど出ませんので、他に原因となる疾患がないかきちんと診てもらうことが必要です。
「しびれ」は、力が入らないときも使われますが、ビリビリといった感覚の異常を意味するものと理解します。ご担当の先生もそのようにお話しされているようですので、診断名を聞いてその治療をしてもらって下さい。
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自律神経障害の一つである睡眠時無呼吸症候群により、日中、過度の眠気を来した状態になっている可能性があります。
いびきが止まないことからも、既に夜間に睡眠時無呼吸症候群の症状が現れていると考えられます。睡眠時の突然死を避けるためにも、治療について主治医とよく相談することをお勧めします。
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MSAでは声帯が十分に開かなくなる(声帯外転障害)ことがあり、甲高いいびきが出る可能性があります。
声帯外転障害があると睡眠時無呼吸症候群を引き起こすこともありますので、主治医に報告して治療法をご相談することをお勧めします。
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MSAの主な症状は、自律神経症状や小脳症状(構音障害、歩行障害など)、パーキンソン症状(筋固縮、安静時の手先の震えなど)ですが、物忘れやうつ症状、同じ事を繰り返し話すなどの精神症状が合併する患者さんもおられます。
この患者さんのご年齢がわかりませんが、高齢になればアルツハイマー病などの合併もあり得ます。原因により治療法が異なりますので、神経内科のある大きな総合病院で診てもらうことをお勧めします。
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多系統萎縮症では、小脳症状やパーキンソン症状として喋り難くなること(構音障害)がよく見られます。認知症もまれですが、見られることがあります。
対処法としては、できるだけ大きく息を吸って話したり、言葉を細かく区切って、ゆっくり大きな声で話したりするとよいでしょう。
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多系統委縮症でてんかん症状が出ることは極めてまれと思われますが、てんかん発作はいろいろな原因で生じ、高齢になると増えてきます。
てんかん発作に対しては、まずはてんかんかどうか、次いでその原因を調べて、適切な治療をする必要がありますが、お薬を開始して有効であったようですので良かったと思います。
発熱時にてんかん発作が生じやすいこともよく知られていますが、発熱自体が発作の一部なのかということを含めて、主治医の確認していただくのがよいと思います。多系統委縮症でも便秘はよく見られますが、てんかん発作とは関係がないと思われます。 -
オリーブ橋小脳萎縮症では、てんかん発作様の症状は殆どありません。
オリーブ橋小脳萎縮症ではそれによる症状としてのてんかん発作は殆どありません。
ミオクローヌスなどの不随意運動をてんかん発作と誤解している、あるいは偶々、てんかん発作が合併した可能性があります。いずれにせよ主治医に「発作」の内容をよく説明し、脳波やMRIなど必要な検査を行った上で診断を確定し、適切な治療を行う必要が有ります。 -
MSAでは、進行に伴い様々な症状が現れますが、無意識な睡眠時に、自分の意思とは無関係に生ずる不随意運動や異常行動がみられることもあります。
これらはむずむず脚症候群であったり、レム睡眠行動異常症と呼ばれるもので、お薬である程度コントロールできますので、主治医とご相談ください。
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起立性低血圧の可能性があります。
多系統萎縮症では、さまざまな自律神経症状が出現します。寝た状態から身体を起こした際に、脳への血流が少なくなることで、立ちくらみや失神が起こることを、起立性低血圧といいます。
治療には、血圧を上げる薬を医師に処方してもらうことや、下半身をタイツなどで圧迫して症状を軽くすることなどが挙げられます。
また、急に起き上がることはせず、ゆっくり上体を起こすようにしてください。 -
進行の程度は、主治医にご確認いただくようにしてください。
脊髄小脳変性症の中で、多系統萎縮症は比較的症状の進行が早いことが知られています。
ただし、自律神経症状の出現にも個人差がありますので、一概に進行が早いかどうかという判断は意外と難しいのです。進行の程度は、全体を把握している主治医にご確認いただくようにしてください。 -
交流会への参加をお勧めします。
この病気では、患者さんは運動失調が進行するにつれて家に閉じこもりがちになり、周囲とのコミュニケーションが次第に薄れて、強い孤独を感じるようになることがあります。また、強い不安からうつ状態になり、カウンセリングや精神科医の診察が必要になる方もあります。このような方には不安やうつ状態等を和らげる薬物を一時的に使うことがあります。
患者さんのうつ症状を解消する方法の一つに、グループリハビリがあります。患者さんが保健所等に集まって、集団でリハビリの体操をしたり、歌をうたったり、しりとりをしたり、身の周りの事についてグループ討論をしたりします。1人でリハビリをするよりも皆でやった方が楽しいですし、普段言えない愚痴なども、同じ病気の仲間同士なら話しやすく、よく聞いてもらえるので、参加された方からは好評を得ているようです。
自治体によって行っているところと、行っていないところがありますので、最寄りの保健所に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
また、周囲に同病の方がいらっしゃらなくて不安を感じている方には、「全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会」が開催する交流会への参加をお勧めします。会員相互の交流を深めるとともに、それぞれの方が抱える問題や疑問を相談し合う場として、多くの方が集まっています。
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多系統萎縮症の患者さんでも、医師の指導の下であれば睡眠薬の服用は可能です。
多系統萎縮症の自律神経症状として夜間頻尿などが起こることがあり、安眠できない時には睡眠薬も有効なことがありますし、一方で睡眠時無呼吸、睡眠時喘鳴などの症候も知られていますので、主治医によく相談することをお勧めします。
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多系統萎縮症(MSA)では、体の動きが遅くなる、筋の固縮などのパーキンソン病のような症状が現れる病型(MSA-P)があります。
したがって、多系統萎縮症でも抗パーキンソン病薬が処方されることはあります。ただ、パーキンソン病のようにお薬が良くは効かないことが多いので、その時は主治医にきちんとお話しください。
多系統萎縮症では、他に歩行時のふらつきなどの小脳失調症状、血圧低下などの自律神経症状も良くみられます。 -
高血圧症状を改善するお薬はあります。
ただ、立位の血圧は正常値よりもやや低めなようですし、寝ている時の血圧も非常に高い訳ではないと思われます。主治医の先生は、立位の時の血圧を保つことを含めて、総合的に考えて、血圧を下げる薬を処方していないように推測されます。血圧の状態が気になるようでしたら、まず主治医にご相談することをお勧めします。
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MSAに対するアントシアニンの効果は、科学的な根拠がまだ十分検討されていません。
一般的に、試験管内やネズミなどの動物モデルで有効であった薬物候補が、ヒトの脳疾患ででも有効性を証明されることは極めてまれであるのが現実です。サプリメントに対しては個々の患者さんで状況が異なる可能性がありますので主治医にご相談ください。
今できることとしては、神経内科専門医にご相談のうえ、症状に応じた薬物療法やリハビリテーションの実施を検討なさることをお勧めします。 -
科学的な根拠がまだ十分検討されていないのが現状です。
グルタチオン製剤については認知症では研究が先行しているものの、MSAの治療に対しては科学的な根拠がまだ十分検討されていません。
腰折れや首下がりなどの姿勢異常はパーキンソニズムを呈する疾患で時々みられる特徴的な症状ですが、中には局所麻酔薬の注射やリハビリテーションなどが有効な場合があります。神経内科専門医にご相談のうえ、症状に応じた薬物療法やリハビリテーションの可能性を検討することをお勧めします。 -
弟さんがMSAに罹患されているとのことお察し申し上げます。MSAに対する再生医療の治験ですが、現在のところ計画されていないと思われます。
MSAの罹病期間は近年、相当に延長しており、現在もいろいろな工夫が続けられております。個々の患者さんの状態に合わせてどのようにするのが良いか考えて対応する必要がありますので、主治医の先生によくご相談ください。
再生治療などが何故難しいのかなどについてもお伺いしてみてはいかがでしょうか。直接お聞きできればご理解が進むのではないかと思われます。もし必要な場合はSCDやMSAを専門的に診ている施設を紹介していただいて、ご相談に行くのも1つの方法かもしれません。
国内で実施されている臨床試験を定期的にご確認なさりたい場合は、下記ホームページをご参照下さい。
■臨床研究情報ポータルサイトのホームページ
https://rctportal.niph.go.jp/※上記バナー・URLをクリックすると外部サイト「『臨床研究情報ポータルサイト』国立保健医療科学院のホームページ」へ移動します。 -
多系統萎縮症は、ほとんどが孤発性の神経変性疾患であり、小脳と脳幹の萎縮を呈し、様々な運動失調症状やパーキンソン症候群、自律神経症状がみられる疾患です。
薬の副作用で起こる病気ではありません。また、手術で治すこともできません。専門の神経内科医を受診し、まずは正確な診断を受けてから、適切な治療を受けることをお勧めします。
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現在、MSAによる構音障害を根本的に良くする薬剤はありません。
ただ、その背景がパーキンソニズムなのか失調性や痙性なのかで多少なりとも役立つ薬物があるかもしれませんし、リハビリにも役立ちますので、まずは主治医の先生によく相談してみてください。
構音障害そのものの治癒はできませんが、どのように克服あるいは代償していけばよいかを言語療法士に示してもらい、一緒に練習していくことで、話しやすくなる、相手に伝えやすくなるという効果が期待できます。
また、症状が進行して話しづらくなった際には、機器などを利用した他のコミュニケーションツールの活用も検討してみてください。 -
現在、多系統萎縮症の根治療法はなく、在宅療養が基本となります。
個々の症状には生活指導や薬物療法に加え、リハビリテーションによる支持療法があり、主治医と相談しながら治療方針を選択していくこととなります。すなわちリハビリテーションも重要な治療の一部です。呼吸器の装着については、睡眠時無呼吸の治療など必ずしも延命治療でないこともありますので、やはり主治医とよく相談する必要が有ります。
また、緊急時や一時的なレスパイト入院(短期入院)を受け入れてもらえる医療機関もありますので、地域の保健所や難病相談・支援センターへ相談することをお勧めします。 -
「小脳を増幅」させるお薬は残念ながらありません。
また、小脳の機能を回復するためには、単に失われた細胞を補うだけではなく、それら相互のネットワークが必要であり、それが小脳障害の再生医療の難しいところです。
治験の案内は、主治医、全国SCD・MSA友の会、あるいはメディアを通じてなされると思いますので、きちんと主治医との関係を維持し、友の会からの情報にも留意することが大切と思います。 -
主治医の先生や患者さんとよく話し合うことが大切です。
まず気管切開ですが、これは、吸引を容易にし、誤嚥を防ぎ、声門閉鎖などが生じても呼吸困難(閉塞性呼吸困難)を防ぐ方法です。
ご心配のように、このようにしても中枢性の呼吸困難による突然死なども報告されていますが、これは希と思われること、またそれは人工呼吸器につないでおく以外に防ぎようがないことを考えますと、同じ重みで比較することは適切ではないと思われます。
既に構音障害が進行しているようですが、気管切開していても特殊なカニューレを使うと発声することは不可能ではありません。
胃瘻は、お口から食事を取ることができないときに、腹壁から直接に胃にチューブを入れてそこから栄養成分を注入する栄養の仕方です。お口から食べる楽しみが失われ、簡単ながらチューブを通す手術が必要ですが、誤嚥などを防ぎ、点滴注射などでは不十分になりがちなカロリーを摂取できるというメリットがあります。
もちろん、このようなことも理解した上で気管切開や胃瘻は望まないという患者さんもおられます。すなわちまさにケースバイケースです。
したがって、納得が行くまで主治医の先生や患者さんとよく話し合って決めることがよいと存じます。 -
排尿障害は自律神経障害の一症状としてよく生じます。また、排尿障害があると感染すなわち膀胱炎を起こしやすく発熱もみられます。
MSAは、自律神経障害が認められることが多く、排尿障害もその症状の1つです。排尿障害を放置しておくと尿道に細菌等が侵入し、膀胱炎を発症する可能性があります。膀胱炎は泌尿器科はもちろん、一般内科でも尿検査、血液検査で診断できます。
ただし、頻繁に再発したり、発熱症状が続くなどした場合は、重篤化する可能性もありますので、主治医に相談し泌尿器科専門医を受診する方がよいでしょう。 -
健康保険を適応する訪問リハビリ鍼灸マッサージを実施している医療機関があります。
関節拘縮・麻痺などがあり、医師が鍼灸・マッサージによる施術が必要と判断され、かつ歩行困難のため往診が必要と判断された方々に対し、鍼灸・マッサージによる訪問リハビリを行っている医療機関があります。
ただし、鍼灸・マッサージでMSA等の神経難病患者さんの嚥下障害や排泄障害が改善されたという明確な科学的根拠はありません。まずは主治医にご相談ください。 -
運動機能の維持・向上には、病状に即した最適なリハビリを指導してもらう必要があります。まずは、主治医の先生にご相談することをお勧めします。
また、リハビリ関連の情報としては、下記ホームページに「全国のリハビリテーション科専門医リスト」が掲載されています。
日本リハビリテーション医学会
http://www.jarm.or.jp/※上記URLをクリックすると外部サイト「公益社団法人 日本リハビリテーション医学会のホームページ」へ移動します。
本Webサイトにも、「在宅リハビリテーション」に関する情報を掲載していますので、是非ご覧ください。
http://www.scd-msa.net/rehabilitation/ -
専門医の指導に従い、リハビリを実施することをお勧めします。
MSAなどの神経難病患者さんのリハビリは、専門医が患者さんの運動機能障害の程度を確認した上で、リハビリの目的と実施内容を決めます。また、リハビリは継続的に毎日行ってゆくことが大切です。小脳の機能回復のためには反復して行うことが重要であり、毎日の繰り返しの練習が機能の維持にもつながります。
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トレーニングの内容や継続の是非については、主治医の先生によくご相談ください。
MSAは病型により日常生活の妨げとなる多様な症状が現れます。また、病気の進行に伴い、不自由さが徐々に増していきます。そして、本来の病気に加え、不活発な生活を送ることによって機能が衰え(廃用症候群)、不自由さがさらに強まります。
自主トレーニング(=リハビリテーション)の目的は、障害の進行状況を踏まえた適切な運動と不自由さを補う手段の工夫により、廃用症候群を予防し、少しでも身体機能・日常生活能力を維持・向上することにあります。
そのためには、専門家による指導のもとに、適切な運動を安全に無理なく行うこと、家庭で少しずつでも続けられる運動を身に付け、実行することが大切です。トレーニングの内容や継続の是非については、主治医の先生によくご相談ください。 -
専門家による指導のもとに、適切な運動を安全に無理なく行うこと、家庭で少しずつでも続けられる運動を身に付け、実行することが大切です。
MSAの運動失調症状により、屋外の歩行が困難となって外出時に車椅子を利用するようになっても、歩行訓練を続けることにより筋力を維持し、屋内での移動能力を保持することに役立ちます。
そのため、専門家による指導のもとに、適切な運動を安全に無理なく行うこと、家庭で少しずつでも続けられる運動を身に付け、実行することが大切です。トレーニングの内容や継続の是非については、主治医の先生によくご相談ください。 -
科学的な根拠がまだ十分検討されていないのが現状です。
鍼治療によって、多系統萎縮症の進行を遅らせることが可能かについては科学的な根拠がまだ検討されていないのが現状です。神経内科専門医にご相談のうえ、症状に応じたリハビリテーションの実施を検討なさることをお勧めします。
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主治医に診断を仰ぐとともに、別剤形の薬剤の処方についてご相談ください。
多系統萎縮症では、自律神経症状の一つとして起立性低血圧がみられます。
パーキンソン症状の治療薬の多くは血圧を低下させる作用がありますのでむしろ注意が必要です。パーキンソン症状の治療薬には、注射薬と皮膚に貼付する薬剤があります。もし必要な場合は、主治医に別剤形の薬剤の処方についてご相談なさることをお勧めします。 -
公的なサポートを受けることをご検討ください。
ご家族の方による介護が困難な場合、介護保険制度によりヘルパーを派遣してもらうなど、公的なサポートを受けることをご検討ください。居住地の市町村の障害福祉担当窓口にご相談なさることをお勧めします。
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筋肉の緊張をやわらげるお薬や少しでも関節の動く範囲を広げるリハビリを行ったりすることを検討してください。
多系統萎縮症は、発症してからの時間経過とともに、関節拘縮・筋強剛などのパーキンソン症状や、起立性低血圧・便秘などの自律神経症状が顕著になってきます。
主治医とご相談のうえ、筋肉の緊張をやわらげるお薬や少しでも関節の動く範囲を広げるリハビリを行ったりすることを検討してください。その上で、小まめに爪のケアをしてあげるように心掛けてください。 -
何か別の原因が考えられます。
本来、MSAによる痛みというものはありません。頭痛等が頻繁にある場合は、何か別の原因が考えられますので、主治医にご相談されることをお勧めします。
また、主訴である平衡機能の失調による歩行障害の症状の改善には、現状では甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンおよびその誘導体が適応となります。
薬物療法のほか、リハビリ療法も並行して行うことで脳が刺激され、運動制御が改善されたり、筋力の維持に役立つことが期待されます。
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診断を受けて精神的につらい状況であれば、まずお近くの地域包括支援センターでよく相談なさることをお勧めします。
また、療養上または生活上の悩みや不安などは、難病相談・支援センターへも相談することができます。MSAの症状は徐々に進行しますが、勤務可能なうちは、できるだけお仕事を続けながら、日常生活を有意義に過ごされることをお勧めします。
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現在、「セグウェイ」のような乗り物は、介護保険を適用して障害者向けに貸し出すようには公的に認められておりません。
一番、ご要望に近いものとしては「電動車椅子」が考えられますので、医療ソーシャルワーカーに入手方法を相談してみてください。また、あなたが安全に操作できそうかは、リハビリテーションスタッフなどに相談してみましょう。
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要介護認定を受けたうえで、地域の難病相談・支援センターに相談して、適切な介護施設を紹介してもらうことをお勧めします。
介護保険の在宅サービスとして、認知症の方を対象としたサービス(認知症対応型通所介護)があります。また、施設サービスとして、常時介護が必要で生活が困難な方が入所して介護を受ける施設(介護老人福祉施設)、長期の療養を必要とする方が入院する病院(介護療養型医療施設)などもあります。
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手帳というのは身体障害者手帳のことでしょうか。脊髄小脳変性症と診断されていれば、身体障害者手帳を取得できます。
身体障害者手帳を所持していれば、手当や日常生活用具の給付、税金や公共料金の優遇(控除や減免)、公共交通機関の割引等、法に基づいた援助を受けることができます。申請手続きは市区町村の障害担当窓口へ、必要書類(身体障害者手帳交付申請書、指定医による診断書、写真、印鑑等)を持参し申請します。
また、今の仕事が困難になってきた際は、会社の産業医に相談して配置転換などの工夫があり得ると思いますし、高齢・障害・求職者雇用支援機構にて就労支援の相談も可能です。 -
世帯収入や重症度により変動しますので一概に薬剤費はお伝えできませんが、難病に係る医療助成制度の対象です。
SCDやMSAは、指定難病ですので難病に係る医療助成制度の対象です。世帯収入や重症度により月額自己負担は変動しますが、最大でひと月3万円までです。 本Webサイトの「各種申請・給付手続きについて」 でも、医療助成制度などの給付に関する情報をまとめていますので、参考にしてください。
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まず、保健所や難病相談・支援センターの窓口に相談することをお勧めします。
窓口で入院を希望する旨を相談すれば、介護保険を適用できる介護療養型病床群や老人健康施設等の医療提供施設への入所を紹介してくれるかもしれません。
しかし、介護保険サービスを受けていても病気が悪化したり、新たに病気になったときは、一般の医療機関において、通常の医療を受けることも可能です。その場合は、費用は医療保険が適用されます。 -
まずは、神経内科を受診して診断を受けてください。SCDと診断された場合は、さまざまな医療助成制度を受けることができます。
お申し出の症状とお母様の病歴から、遺伝性SCDの可能性がありますので、神経内科専門医にて診断を受けるようにしてください。
もし、SCDの確定診断を受けた場合は、難病医療費助成制度や介護保険などに基づくさまざまな助成やサービスを受けることができます。
唯、難病医療費助成制度は、平成27年1月より改定されました。患者さんの所得に応じて自己負担額が変わる、医療費助成の対象となる医療機関等(病院、診療所、薬局、訪問看護事業所)は都道府県が指定した「指定医療機関」となることなど、内容の変更がありますので注意してください。
また、各制度はご自身で手続きしない限り、給付を受けることはできません。申請内容をよくご確認のうえ、申請するようにしてください。
当サイトの下記ページにも各種助成制度の申請に関する情報を掲載しています。
http://www.scd-msa.net/family/application/ -
デイケアや訪問介護のリハビリを活用したり、難病相談・支援センターで悩みや不安を相談することをご検討ください。
障害を受け入れるには困難を伴います。また、病気を宣言されたショックや病気の進行による焦りや悲観などからストレスが溜まることも多く、症状が不安定になりがちです。 お近くの地域包括支援センターでよく相談し、デイケアの利用や訪問介護によるリハビリを上手く活用するのが良いでしょう。
また、療養上や生活上の悩み、不安などは、難病相談・支援センターに相談されるのが良いでしょう。 -
この場合は、身体障害者手帳の交付対象とはなりません。
外国に住所があるとき、例え戸籍が日本であっても日本国内に住民票が残されていない場合は、身体障害者手帳の交付対象とはなりません(身体障害者福祉法施行令第4条)。
また、申請の際に身体障害者福祉法第15条により、都道府県知事が定める医師(身体障害者福祉法指定医)による医師意見書・診断書が必要と定められています。
現在の海外居住地において、同様の制度がないかを現地の公的機関でご確認なさることをお勧めします。 -
介護保険担当窓口などにご相談されることをお勧めします。
介護保険制度は、本来65歳以上が対象ですが、SCD・MSAの場合は40歳以上であれば利用できます。
申請すると所得に応じて医療費の一部が助成され、認定を受けた方の状態により、ヘルパー派遣制度を含めた種々の介護サービスを受けることができます。
一度、市区町村の介護保険担当部署、または地域包括支援センターへご相談されることをお勧めします。
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ご自身の状態に合わせて、医師と相談のうえ、適切な歩行器を選択することをお勧めします。
歩行器にも様々なタイプがありますので、ご自身の負担が少なくきちんとブレーキの掛かるものを選択することが重要です。電動車椅子のリースなども検討してはいかがでしょうか。涼しくなったら、安全な場所でゆっくりと歩かれることは、筋力維持のためにも良いでしょう。
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自力歩行が可能なうちは、筋力維持のためにも極力歩行することをお勧めしますが、会社の意向も考慮して神経内科の医師に相談することをお勧めします。
両杖で歩行可能であれば、確かに車椅子よりも電車の乗り換えなどで時間を要することはないでしょう。しかし、最近はバリアフリー化が進んでおります。駅員による乗降者のサポートも充実していますので、ご自身の状態に合う方法を選択してください。
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すでにオリーブ橋小脳萎縮症(多系統萎縮症)との診断は付いており、転院先の病院の医師が患者さんの現在の症状や運動機能を詳しく把握することと、リハビリテーションのために、検査入院を勧めているものと思われます。
多系統萎縮症のような進行性疾患の場合、経過と共に症状が変わりますので、同じ病院であっても例えば年に1度くらい短期入院して病状のチェックとリハビリテーション等の見直しを行うことはよく行われて効果を上げています。
今回は、新しい主治医に入院を勧める理由を訊くとともに、もし前の病院でそれらが済んでいるなど入院を希望しないのであれば、それを伝えて方針を決めるのが良いと思われます。また、入院を希望しない理由が経済的なことの場合は、院内の医療相談室や保健所などの医療ソーシャルワーカーにご相談ください。各種医療助成制度を利用することが可能です。 -
リハビリ動画でご紹介したペンシルグリップは、東急ハンズで購入したものだそうです。
海外メーカーのThe Way Co. Ltd.,にて、「Writegrip」という製品名で販売されています。一度、お店に取り扱いがあるかをご確認ください。
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「痙攣」以外の症状がよく分かりませんが、主治医の判断は介護で対応できる状況ではなく医療が必要であることのようです。
脊髄小脳変性症や痙攣は神経内科で診療することが多いと思いますが、恐らく精神症状が強いために精神科に入院されているものと思われます。痙攣が止められ精神症状がコントロールできれば、自宅あるいは施設にて介護が可能になると思われます。
両者ともなかなかお薬でのコントロールが難しいことがありますが、まずは主治医の先生にどのような状況なのかよく伺うことをお勧めします。その後、もしご希望があれば、別の施設の専門家に意見を求めるセカンドオピニオンという制度もあります。 -
入院の説明書で完全看護と記載されていても、重篤であるとか精神的に不安定であるなど様々な理由で付き添いを求められることがあると思われます。
従って、まずは、ご友人のお母様の場合はどういう理由であるかを病院に確認する必要があります。その上で、ご友人が脊髄小脳変性症であり付き添いが難しい場合は、率直に病院にご相談されることをお勧めします。
ご家族が居られない方など様々な患者さんが居られますので、いろいろな対応策があるものと思われます。 -
脊髄小脳変性症の患者さんが、車の運転を行うことは非常に危険です。
車の運転には、意思通りに身体を動かせる能力や、注意力が必要です。したがって、具体的には患者さんの症状を知っている主治医の先生に伺ってご判断いただいてください。一般的は、運動失調症状や眼振、不随意運動が進行すると安全な運転の妨げとなり、非常に危険です。
身体障害者手帳によって受けられるサービスには、各自治体によって違いがありますが、タクシー券をもらえたり、タクシー料金の還付を受けられることもあるようですので、そのようなサービスを活用するのもよいと思われます。
詳しくは、お住まいの自治体の市役所・障害福祉課などにお問い合わせください。 -
これは座っていると重心が後方に移動するといったことでしょうか。まずは、主治医やリハビリテーションの理学療法士に診てもらうことをお勧めします。
なお、在宅でも可能な、座っている姿勢(座位)でのバランス練習があります。脊髄小脳変性症が進行しても、座位が困難になることはまれですが、座位の安定度を改善するためには、座位のままで体幹を軽く前後左右にゆすり、体を支えている筋肉の同時収縮を行わせる等の方法があります。
本サイトにも、基本的な動作から日常生活動作までの練習を動画で解説していますので、是非ご活用ください。ご自分で訓練を始める場合も、できるだけ早い機会に主治医の先生にも報告してアドバイスを受けてください。 http://www.scd-msa.net/rehabilitation/home/rigaku.html -
多くの脊髄小脳変性症では医学的に妊娠が困難になることはないと思われます。
ただ、ご病気の遺伝性の有無、妊娠中の安全や、出産時の安全の確保、育児なども関係してきますので、主治医によく相談されることをお勧めします。
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まず、やはり神経内科医を受診することを勧めます。
ご本人が来院するのがベストですが、最初の1回はあなたが資料を持参して代わりに受診することも可能と思います。そして、正しい診断を確定し、治療についても相談してください。
受診先ですが、距離的に近い九州地区でも交通上便利な東京地区のいずれもよいと思いますし、全国SCD・MSA友の会などに相談して紹介してもらうことも可能だと存じます。 -
専門的な遺伝カウンセリングを行っている医療機関に相談することをお勧めします。
まず、お嬢様には類似の、あるいは何かしらの症状があるように記載されています。もしそうであるなら、主治医に相談の上、その診察を受け原因となる疾患の診断を確定することをお勧めします。
もし同じ疾患、すなわち遺伝性のSCDであるならば、主治医の先生と相談の上、遺伝カウンセリングの専門家に相談することが一つの方法と思います。
なお、たまたま似ている別の病気である可能性もあるかもしれません。 -
高齢・障害・求職者雇用支援機構に就労支援を相談することをお勧めします。
職場にも病気について理解してもらい、在宅勤務をなさっているそうですので、できる限り働き続けるのが望ましいでしょう。
現在の勤務が困難になった場合は、高齢・障害・求職者雇用支援機構に、病状を伝えたうえで就労支援を相談することをお勧めします。全国に相談窓口がありますので、下記Webサイトでご確認ください。高齢・障害・求職者雇用支援機構
http://www.jeed.or.jp/※上記URLをクリックすると外部サイト「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページ」へ移動します。 -
主治医の先生に相談をして、紹介状を作成してもらい、適切な施設を紹介してもらうとよいでしょう。
セカンドオピニオンとは、患者さんにとって最善と考えられる診断、治療法、予防法などを決めるために、主治医以外の医師に意見を尋ねることです。セカンドオピニオンは主治医を変更することではないので、主治医に失礼ではないかと思う必要はありません。
主治医の先生に「他の先生の意見も聞いてみたい」という相談をして、紹介状を作成してもらい、適切な施設を紹介してもらうとよいでしょう。神経難病のMSA患者さんは、必ず神経内科専門医を受診してください。
全国の神経内科医は、下記Webサイトからも検索できます。
日本神経学会
http://www.neurology-jp.org/※上記URLをクリックすると外部サイト「一般社団法人 日本神経学会のホームページ」へ移動します。 -
「全国脊髄小脳変性症(SCD)・多系統萎縮症(MSA)友の会」は、下記の目的のために組織された患者団体です。
- SCD・MSAの患者、家族の交流と親睦、またそれらを通しての有益な情報交換をはかる。
- SCD・MSAの早期の原因究明と治療法の確立をはかるため、関係機関に働きかける。
- SCD・MSAに対する社会的認識を深める。
現在の会員数は約1700名で、年間を通してさまざまな活動を行っています。
【主な活動内容】- 会報「友の会ニュース」の発行
- 友の会総会の実施
- 医療講演会、相談会の開催
- 交流会の実施
- 厚生労働省への陳情(要請)行動
- 電話による医療相談
全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会
http://scdmsa.tokyo/※上記URLをクリックすると外部サイト「特定非営利活動法人 全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会のホームページ」へ移動します。 -
職場でも病気について理解してもらい、なるべく働き続けることが望ましいです。
いろいろと不安はおありでしょうが、脊髄小脳変性症と確定診断されているなら、症状は徐々に進行します。病気と真正面から向き合い、職場でも病気について理解してもらうことが重要です。その上で、勤務可能なうちは、現職を続けるべきです。
また、勤務が困難になっても、時差出勤や在宅勤務などの仕組みがある場合は、なるべく働き続けるのが望ましいでしょう。
勤務が困難になった場合は、手内職などのほかパソコンやインターネットを活用した仕事を考えてみるのも一つの方法です。 -
SCDサマリーとはSCD患者さんを対象に作られた指導箋(6種類)のことです。
① 知っておきたい病気のこと、② SCD患者さんの医療・福祉制度、③ SCDの症状と対策、④ SCDの治療 1.薬物療法、⑤ SCDの治療 2.リハビリテーション、 ⑥ SCD患者さんの日常生活
の6種類の指導箋があります。田辺三菱製薬が発行(非売品)していますので、SCDを診断・治療されている神経内科の先生にお尋ねください。 -
主治医の先生に相談して、適切な方からカウンセリングを受けることをお勧めします。
SCDの運動失調症状により体が上手く動かせなくなり、気持ちが不安定になるとのことですが、この病気はゆっくり進行しますので、急に不自由になることはありません。積極的に運動をし、今の運動機能をできるだけ維持するように努力するとよいと思います。そして、現在の生活を楽しんでください。そうすれば病気の進行も遅らせる可能性もあるように思います。
もし、どうしても不安定な気持ちが続くようでしたら、主治医の先生に相談して適切な対応を取ってください。精神的に衰弱しておられる方には、臨床心理士や精神保健福祉士のカウンセリングを勧められることもあります。 -
書籍をお求めのうえご確認することをお勧めします。
SCD・MSAの診断・治療は、全国の神経内科専門医に受診して行われます。「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症 Q&A172(発行:(NPO)全国SCD・MSA友の会)」という書籍に、神経内科専門医がいる病院や、各地の友の会、全国SCD・MSA友の会医療顧問の先生の情報等が掲載されていますので、下記URLにアクセスし、書籍をお求めのうえご確認することをお勧めします。
特定非営利活動法人 全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会
http://scdmsa.tokyo/syuppan.html※上記URLをクリックすると外部サイト「特定非営利活動法人 全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会のホームページ」へ移動します。<日本神経学会のHPからも神経内科専門医を知ることができます。>
監修:国立精神・神経医療研究センター 理事長・総長 水澤英洋先生