SCD・MSA相談Q&A
脊髄小脳変性症(SCD)・多系統萎縮症(MSA)と診断された患者さんやご家族の方々は、病気や診療などについて、知りたいことやわからないことが、いろいろあるかと思います。
そこで、これまでSCD・MSA治療を専門とされる先生方に、寄せられた質問とそれに対する回答を掲載致します。SCD・MSAに対する疑問や不安の解消の一助となれば幸いです。
Q&A
ご質問内容をグループ分けしていますので、まず、ご覧になりたいご質問内容を下記よりお選びください。
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その他のご質問
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ご自身の状態に合わせて、医師と相談のうえ、適切な歩行器を選択することをお勧めします。
歩行器にも様々なタイプがありますので、ご自身の負担が少なくきちんとブレーキの掛かるものを選択することが重要です。電動車椅子のリースなども検討してはいかがでしょうか。涼しくなったら、安全な場所でゆっくりと歩かれることは、筋力維持のためにも良いでしょう。
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自力歩行が可能なうちは、筋力維持のためにも極力歩行することをお勧めしますが、会社の意向も考慮して神経内科の医師に相談することをお勧めします。
両杖で歩行可能であれば、確かに車椅子よりも電車の乗り換えなどで時間を要することはないでしょう。しかし、最近はバリアフリー化が進んでおります。駅員による乗降者のサポートも充実していますので、ご自身の状態に合う方法を選択してください。
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すでにオリーブ橋小脳萎縮症(多系統萎縮症)との診断は付いており、転院先の病院の医師が患者さんの現在の症状や運動機能を詳しく把握することと、リハビリテーションのために、検査入院を勧めているものと思われます。
多系統萎縮症のような進行性疾患の場合、経過と共に症状が変わりますので、同じ病院であっても例えば年に1度くらい短期入院して病状のチェックとリハビリテーション等の見直しを行うことはよく行われて効果を上げています。
今回は、新しい主治医に入院を勧める理由を訊くとともに、もし前の病院でそれらが済んでいるなど入院を希望しないのであれば、それを伝えて方針を決めるのが良いと思われます。また、入院を希望しない理由が経済的なことの場合は、院内の医療相談室や保健所などの医療ソーシャルワーカーにご相談ください。各種医療助成制度を利用することが可能です。 -
リハビリ動画でご紹介したペンシルグリップは、東急ハンズで購入したものだそうです。
海外メーカーのThe Way Co. Ltd.,にて、「Writegrip」という製品名で販売されています。一度、お店に取り扱いがあるかをご確認ください。
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「痙攣」以外の症状がよく分かりませんが、主治医の判断は介護で対応できる状況ではなく医療が必要であることのようです。
脊髄小脳変性症や痙攣は神経内科で診療することが多いと思いますが、恐らく精神症状が強いために精神科に入院されているものと思われます。痙攣が止められ精神症状がコントロールできれば、自宅あるいは施設にて介護が可能になると思われます。
両者ともなかなかお薬でのコントロールが難しいことがありますが、まずは主治医の先生にどのような状況なのかよく伺うことをお勧めします。その後、もしご希望があれば、別の施設の専門家に意見を求めるセカンドオピニオンという制度もあります。 -
入院の説明書で完全看護と記載されていても、重篤であるとか精神的に不安定であるなど様々な理由で付き添いを求められることがあると思われます。
従って、まずは、ご友人のお母様の場合はどういう理由であるかを病院に確認する必要があります。その上で、ご友人が脊髄小脳変性症であり付き添いが難しい場合は、率直に病院にご相談されることをお勧めします。
ご家族が居られない方など様々な患者さんが居られますので、いろいろな対応策があるものと思われます。 -
脊髄小脳変性症の患者さんが、車の運転を行うことは非常に危険です。
車の運転には、意思通りに身体を動かせる能力や、注意力が必要です。したがって、具体的には患者さんの症状を知っている主治医の先生に伺ってご判断いただいてください。一般的は、運動失調症状や眼振、不随意運動が進行すると安全な運転の妨げとなり、非常に危険です。
身体障害者手帳によって受けられるサービスには、各自治体によって違いがありますが、タクシー券をもらえたり、タクシー料金の還付を受けられることもあるようですので、そのようなサービスを活用するのもよいと思われます。
詳しくは、お住まいの自治体の市役所・障害福祉課などにお問い合わせください。 -
これは座っていると重心が後方に移動するといったことでしょうか。まずは、主治医やリハビリテーションの理学療法士に診てもらうことをお勧めします。
なお、在宅でも可能な、座っている姿勢(座位)でのバランス練習があります。脊髄小脳変性症が進行しても、座位が困難になることはまれですが、座位の安定度を改善するためには、座位のままで体幹を軽く前後左右にゆすり、体を支えている筋肉の同時収縮を行わせる等の方法があります。
本サイトにも、基本的な動作から日常生活動作までの練習を動画で解説していますので、是非ご活用ください。ご自分で訓練を始める場合も、できるだけ早い機会に主治医の先生にも報告してアドバイスを受けてください。 http://www.scd-msa.net/rehabilitation/home/rigaku.html -
多くの脊髄小脳変性症では医学的に妊娠が困難になることはないと思われます。
ただ、ご病気の遺伝性の有無、妊娠中の安全や、出産時の安全の確保、育児なども関係してきますので、主治医によく相談されることをお勧めします。
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まず、やはり神経内科医を受診することを勧めます。
ご本人が来院するのがベストですが、最初の1回はあなたが資料を持参して代わりに受診することも可能と思います。そして、正しい診断を確定し、治療についても相談してください。
受診先ですが、距離的に近い九州地区でも交通上便利な東京地区のいずれもよいと思いますし、全国SCD・MSA友の会などに相談して紹介してもらうことも可能だと存じます。 -
専門的な遺伝カウンセリングを行っている医療機関に相談することをお勧めします。
まず、お嬢様には類似の、あるいは何かしらの症状があるように記載されています。もしそうであるなら、主治医に相談の上、その診察を受け原因となる疾患の診断を確定することをお勧めします。
もし同じ疾患、すなわち遺伝性のSCDであるならば、主治医の先生と相談の上、遺伝カウンセリングの専門家に相談することが一つの方法と思います。
なお、たまたま似ている別の病気である可能性もあるかもしれません。 -
高齢・障害・求職者雇用支援機構に就労支援を相談することをお勧めします。
職場にも病気について理解してもらい、在宅勤務をなさっているそうですので、できる限り働き続けるのが望ましいでしょう。
現在の勤務が困難になった場合は、高齢・障害・求職者雇用支援機構に、病状を伝えたうえで就労支援を相談することをお勧めします。全国に相談窓口がありますので、下記Webサイトでご確認ください。高齢・障害・求職者雇用支援機構
http://www.jeed.or.jp/※上記URLをクリックすると外部サイト「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページ」へ移動します。 -
主治医の先生に相談をして、紹介状を作成してもらい、適切な施設を紹介してもらうとよいでしょう。
セカンドオピニオンとは、患者さんにとって最善と考えられる診断、治療法、予防法などを決めるために、主治医以外の医師に意見を尋ねることです。セカンドオピニオンは主治医を変更することではないので、主治医に失礼ではないかと思う必要はありません。
主治医の先生に「他の先生の意見も聞いてみたい」という相談をして、紹介状を作成してもらい、適切な施設を紹介してもらうとよいでしょう。神経難病のMSA患者さんは、必ず神経内科専門医を受診してください。
全国の神経内科医は、下記Webサイトからも検索できます。
日本神経学会
http://www.neurology-jp.org/※上記URLをクリックすると外部サイト「一般社団法人 日本神経学会のホームページ」へ移動します。 -
「全国脊髄小脳変性症(SCD)・多系統萎縮症(MSA)友の会」は、下記の目的のために組織された患者団体です。
- SCD・MSAの患者、家族の交流と親睦、またそれらを通しての有益な情報交換をはかる。
- SCD・MSAの早期の原因究明と治療法の確立をはかるため、関係機関に働きかける。
- SCD・MSAに対する社会的認識を深める。
現在の会員数は約1700名で、年間を通してさまざまな活動を行っています。
【主な活動内容】- 会報「友の会ニュース」の発行
- 友の会総会の実施
- 医療講演会、相談会の開催
- 交流会の実施
- 厚生労働省への陳情(要請)行動
- 電話による医療相談
全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会
http://scdmsa.tokyo/※上記URLをクリックすると外部サイト「特定非営利活動法人 全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会のホームページ」へ移動します。 -
職場でも病気について理解してもらい、なるべく働き続けることが望ましいです。
いろいろと不安はおありでしょうが、脊髄小脳変性症と確定診断されているなら、症状は徐々に進行します。病気と真正面から向き合い、職場でも病気について理解してもらうことが重要です。その上で、勤務可能なうちは、現職を続けるべきです。
また、勤務が困難になっても、時差出勤や在宅勤務などの仕組みがある場合は、なるべく働き続けるのが望ましいでしょう。
勤務が困難になった場合は、手内職などのほかパソコンやインターネットを活用した仕事を考えてみるのも一つの方法です。 -
SCDサマリーとはSCD患者さんを対象に作られた指導箋(6種類)のことです。
① 知っておきたい病気のこと、② SCD患者さんの医療・福祉制度、③ SCDの症状と対策、④ SCDの治療 1.薬物療法、⑤ SCDの治療 2.リハビリテーション、 ⑥ SCD患者さんの日常生活
の6種類の指導箋があります。田辺三菱製薬が発行(非売品)していますので、SCDを診断・治療されている神経内科の先生にお尋ねください。 -
主治医の先生に相談して、適切な方からカウンセリングを受けることをお勧めします。
SCDの運動失調症状により体が上手く動かせなくなり、気持ちが不安定になるとのことですが、この病気はゆっくり進行しますので、急に不自由になることはありません。積極的に運動をし、今の運動機能をできるだけ維持するように努力するとよいと思います。そして、現在の生活を楽しんでください。そうすれば病気の進行も遅らせる可能性もあるように思います。
もし、どうしても不安定な気持ちが続くようでしたら、主治医の先生に相談して適切な対応を取ってください。精神的に衰弱しておられる方には、臨床心理士や精神保健福祉士のカウンセリングを勧められることもあります。 -
書籍をお求めのうえご確認することをお勧めします。
SCD・MSAの診断・治療は、全国の神経内科専門医に受診して行われます。「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症 Q&A172(発行:(NPO)全国SCD・MSA友の会)」という書籍に、神経内科専門医がいる病院や、各地の友の会、全国SCD・MSA友の会医療顧問の先生の情報等が掲載されていますので、下記URLにアクセスし、書籍をお求めのうえご確認することをお勧めします。
特定非営利活動法人 全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会
http://scdmsa.tokyo/syuppan.html※上記URLをクリックすると外部サイト「特定非営利活動法人 全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会のホームページ」へ移動します。<日本神経学会のHPからも神経内科専門医を知ることができます。>
監修:国立精神・神経医療研究センター 理事長・総長 水澤英洋先生