在宅医療アドバイス
在宅医療を開始されるSCD・MSA患者さんとご家族の方へ
監修:国立病院機構 箱根病院 院長 小森 哲夫先生
在宅医療を支援する多職種チーム医療
外来診療を受けている間に、何度か入院して病状評価やリハビリテーションを実施することが多くあります。通院が困難になっていく過程では、通院回数を減らしながら訪問診療が可能な地域かかりつけ医を見つけ、訪問看護を利用して在宅療養の体制を徐々に作り始めることが一般的に行われます。在宅療養の開始にあたっては、保健師に協力を求めて患者さんに関わることのできる地域の医療・介護・福祉資源を整理し、より良い支援チームを作ることが良いでしょう。患者さんの病状によって使うべき制度や関わるべき職種は異なってきますが、入院可能な病院と専門医、病棟および外来看護師、保健師、地域のかかりつけ医、訪問看護師、ケアマネジャー、ホームヘルパーなどが一般的です。これに、リハビリテーション療法士、薬剤師、医療機器業者などが関わることもあります。関連する職種を網羅した「難病ロードマップ」(図2)を活用するとご自分に必要なチーム構成を落とすことなく確認できると思います。
(原稿執筆 2016年7月)
図2 難病ロードマップ
(国立病院機構まつもと医療センター中信松本病院 植竹日奈様 作成)
難病患者を支援する職種が一覧で分かる。それぞれの地域で具体的な施設や業者を挿入することにより、患者さんごとに個別のロードマップを作ることができる。
※各ボタンをクリックすると詳細な説明が表示されます。
- 病院
- 医療機関は、急性期病院(治療を行う病院)、療養目的の病院(安定期に必要な医療を行い急性期の治療は担当しない)、診療所(自宅や施設などでの生活を支える、往診なども行う)などの役割分担をしています。医師、看護師の他にリハビリテーションのスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、臨床心理士なども、それぞれの専門の立場で相談を聞いてくれます。病院には、病気になったことで生じる生活上の悩み(治療費、療養の場所、介護について、など)の相談を受ける医療ソーシャルワーカーが配置されていることも多いです。
レスパイト入院とは
日常生活にさまざまな医療行為が必要となった場合、患者さんの体調管理と療養方法の見直しのために行う短期間の入院のことです。主治医や医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。
- セカンドオピニオン
- 現在の主治医以外の医師があなたの治療についてどう考えるかを聞いてみることをセカンドオピニオンと言います。現在の主治医からの「診療情報提供」が必要なので、まずは現在の主治医に相談してみましょう。病院の中にセカンドオピニオンについての窓口が設けられていることもありますので探してみましょう。
- 地域の診療所
- 医療機関は、急性期病院(治療を行う病院)、療養目的の病院(安定期に必要な医療を行い急性期の治療は担当しない)、診療所(自宅や施設などでの生活を支える、往診なども行う)などの役割分担をしています。医師、看護師の他にリハビリテーションのスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)、臨床心理士なども、それぞれの専門の立場で相談を聞いてくれます。病院には、病気になったことで生じる生活上の悩み(治療費、療養の場所、介護について、など)の相談を受ける医療ソーシャルワーカーが配置されていることも多いです。
レスパイト入院とは
日常生活にさまざまな医療行為が必要となった場合、患者さんの体調管理と療養方法の見直しのために行う短期間の入院のことです。主治医や医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。
- 難病医療拠点病院
- 総合型:多分野の難病指定医が配置され、難病医療に関する情報の提供、連携体制の構築、広域にまたがる調整をおこないます。領域型:特定の分野の難病指定医が配置されています。
- 難病相談支援センター
- 各県に設置されています。難病の療養や生活上の悩みなどの相談をお聞きしています。
- 難病情報センター
- 難病に関する情報をホームページで公開しています。
- 患者会
- 病気によっては同じ病気の患者さんやご家族が患者会活動をしている場合があります。病院のソーシャルワーカーや難病相談支援センターに聞いてみましょう。
- インターネット
- インターネットでさまざまな情報を集めるのも有効な方法です。難病は病状に個人差が大きい病気も多く、一般論があなたの状況にあてはまるとは限らないので、インターネットで得た情報について主治医など、あなた自身についてよく知っている担当者と話し合ってみることが大切です。
- ハローワーク
- 病気の治療をしながら、就職先を探すのは、健康な時とは違った悩みも多くあります。ハローワークでは状況をお聞きしながら適切な職を探すのをお手伝いします。難病で療養されていることを窓口でおっしゃってください。
- 保健福祉事務所保健師
- 保健福祉事務所(保健所)には難病を担当している保健師がいます。治療について、療養生活についてなどさまざまな分野の相談をお聞きしています。
- 市町村保健師
- 市役所、町村役場にも保健師がいます。役所の部署(福祉や介護の担当など)と連携をとりながら相談をお聞きしています。
- 市町村福祉担当窓口
- 難病の患者さんは福祉サービスの制度を利用することができます。状況によっては「身体障害者手帳」を取得できる場合もあります。なお、福祉や介護のサービス利用については、病院の医療ソーシャルワーカーにまず相談してみましょう。病状について把握したうえでそれぞれの窓口と連携して相談にのってくれます。
- 市町村介護担当窓口
- 病名に関係なく65歳から、難病の一部は40歳から介護保険を利用することができます。利用するには市町村窓口に申請して介護度の認定を受けることが必要です。
- 介護保険ケアマネジャー
- 介護保険サービスを利用する場合、サービス利用について相談するのがケアマネジャーです。包括支援センター、市町村で指定された居宅介護支援事業所などが窓口になります。
- 介護保険各種事業者
- 介護保険で利用できるサービスはいろいろあります。訪問介護(ヘルパー)、訪問入浴、デイサービス、通所リハビリ、訪問リハビリ、福祉機器(車いすなど)の購入やレンタルなど。サービス利用はケアマネジャーが調整しますので、どこにどんな事業者があるかケアマネジャーに相談してみましょう。
- 福祉機器や医療機器の業者
- 車いすや電動ベッド、てすりやスロープ、段差解消などの住宅改修、人工呼吸器や酸素吸入の器械、病状によっては福祉機器や医療機器が必要になる場合があります(もちろん病気によってその必要性は違いますので、どのような道具が必要になるかは主治医に聞いてみましょう)。そのような器械を専門に扱う業者を、病院やケアマネジャーから紹介してもらいましょう。
- 入所施設
- 自宅での療養が難しくなった時、介護保険や障害者総合支援法などによる入所施設の利用を検討しなくてはならないかも知れません。病状や必要な介護の内容について入所要件がいろいろありますので、それぞれの制度の窓口や病院のソーシャルワーカーに相談してみましょう。
- 訪問看護ステーション
- 看護師が訪問して、状態観察や療養の相談、一部の医療行為や身の周りの看護を行います。主治医から訪問看護師に「指示」をすることが必要ですので、主治医に相談してみましょう。
- 訪問リハビリ事業所
- 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリスタッフが自宅でリハビリを行います。どのようなリハビリをしてもらうかを主治医を相談しましょう。
- 障害者総合支援法 相談支援専門員
- 障害者総合支援法のサービス利用のケアプラン作成をお手伝いします。
- 障害者総合支援法 各種事業者
- 介護保険同様、さまざまなサービスがあります。移動支援など、介護保険にはないサービスもありますので、市町村窓口や相談支援専門員に相談してみましょう。