在宅医療アドバイス
在宅医療を開始されるSCD・MSA患者さんとご家族の方へ
監修:国立病院機構 箱根病院 院長 小森 哲夫先生
地域包括ケアシステムとSCD・MSA
現在、お住いの各地域で地域包括ケアシステムが検討されつつあります。戦後生まれの団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて準備が行われているのです。各地の自治体が主体となった体制作りですが、医師会などが主導的に動いて、認知症を念頭にした取り組みが先行している場合が多いと思われます。これからはSCD・MSAだけでなく神経難病の患者さんもこのケアシステムに沿って地域社会に溶け込んで生活することが大切になると思われます。いつ来るか判らない災害時の「自助」に続く「共助」では地域の力が大切であり、たとえ専門性をもつ医療・介護・福祉の多職種チームが援助に向かうとしても、多かれ少なかれ在宅療養中のSCD・MSA患者さんとご家族は、自分たちを支援してくれる居住地域の方々と良い関係、良い役割分担を話し合っておくと安心が生まれます。
SCD・MSAを支えるチーム医療
SCD・MSAなど神経難病患者さんを支えるチーム医療は、間違いなく地域包括的ケアシステムの中核を占める在宅支援方法のモデルと考えられます。神経難病患者・家族を支える専門家のチーム医療体制図を示します(図3)。専門医療機関、かかりつけ医、保健所、訪問看護、介護保険に関連する在宅や通所の諸サービス、場合によって障害サービスも含めて沢山の人達がみなさんを支援します。一方で、これらの全てを利用する高齢者はほとんどいません。すなわち、みなさんが中心となり、みなさんも参加するチームは、今後の高齢化社会を支える基礎となりますので、周囲の方々との関係構築を含めて、より良い地域包括的ケアシステムを一緒に作りましょう。
(原稿執筆 2016年7月)
多職種連携のチーム医療体制図
連携を十分機能させるために、赤枠の職種が果たす役割が大きい。