在宅医療アドバイス
専門職種各エキスパートからのアドバイス
SCD・MSA患者さんに対する医療ソーシャルワーカーの役割
国立病院機構 まつもと医療センター 中信松本病院 相談支援センター
ソーシャルワーカー 植竹 日奈様
1986年上智大学大学院文学研究科社会学専攻博士前期課程修了。
同年、信州大学医学部付属病院に医療ソーシャルワーカーとして勤務。1997年国立中信松本病院(現在の国立病院機構まつもと医療センター中信松本病院)に勤務。神経難病の患者さんの在宅移行を多く支援している。認定社会福祉士(医療分野)。
医療ソーシャルワーカーとは?
病院の中で、生活や福祉、経済的課題などについて相談にのる社会福祉専門職を医療ソーシャルワーカーといいます。病院によっては、ケースワーカー、相談員などと呼ばれている場合もあります。相談支援センター、医療相談室、医療福祉課、地域医療連携室といった部署に配属されていることが多いので、気軽に訪ねてみましょう。
医療ソーシャルワーカーは、病気で治療を受けることになった患者さんやご家族のさまざまな悩みに対応しています。
たとえば……
- 病気になって気持ちが落ち込んでいる、誰かに話を聞いてほしい
- 先生(医師)にいろいろ聞きたいことがあるけど、うまく伝えられない
- 医療費の支払いが心配
- 仕事を続けるのが大変になってきた。どうしたらいいだろう?
- 仕事をやめてしまった。療養中でもできる次の仕事を探すには?
- 訪問リハビリ(自宅でリハビリテーション専門職が訪問してリハビリをする)を受けたいがどんな手続きをすればいい?
- 介護保険を申請したい。手続き方法は?
- 収入がなくなってしまった。障害年金や手当金について知りたい
- 職場復帰するのだが、上司に病気についてうまく説明できるか心配
- 退院後はおむつ交換が必要になった。高齢の家族だけで介護できそうにない
- 施設利用を考えている。どんな施設がどこにあるの?
- 同じ病気の人やそのご家族と話がしてみたい
- 在宅療養に必要な医療機器はどうしたら手に入る?
- その他
SCD・MSAの患者さんと医療ソーシャルワーカー
病状に伴うさまざまな生活の困難や悩みを、患者さんやご家族と共に考え、一緒に解決策を探していきます。在宅療養においては病院医師、地域の診療所医師や看護師、ケアマネジャー、訪問看護師、訪問リハスタッフ、ヘルパー、諸施設の職員などさまざまな職種が連携してみなさんをサポートしていきますが、それらの関係者にとっての医療機関への窓口の役割も担います。患者さんやご家族が抱える困難の解決への糸口として「どこに相談したらいいかわからないけれど」、「困ったときのソーシャルワーカー」として、治療では解決できないさまざまな悩みを共に考えるのが医療ソーシャルワーカーの役割です。
(原稿執筆 2016年7月)