在宅医療アドバイス
専門職種各エキスパートからのアドバイス
SCD・MSA患者さんに対する臨床心理士の役割
国立病院機構 千葉東病院 難病支援センター
臨床心理士 加藤 麻美様
2008年 淑徳大学大学院総合福祉研究科心理学専攻修了。
有料老人ホーム、私立病院神経内科で臨床心理士としてカウンセリング・検査業務を行い、現在国立病院機構千葉東病院、難病相談・支援センターにて勤務。
SCDやMSAと診断されると、患者さんやご家族には落ち込み、混乱や苛立ち、見通しの立たなさによる不安や絶望感など、さまざまな気持ちが起こります。このような気持ちを整理するお手伝いをするのが臨床心理士をはじめとする心理専門職です。
臨床心理士とは
臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、心の問題を扱う専門職です。カウンセリングなどを通して、生活背景やその時々の気持ちなどを聞きながら、自分のつらい気持ちと向き合ったり、気持ちの整理をしていくことをお手伝いします。どんな些細な悩みでも、話を聴いてもらうだけで心がスッと晴れることがあります。家族や友人には心配をかけたくないと思って話せないことも、第三者だから気兼ねなく話せるということもあります。
カウンセリングについて
カウンセリングと聞くと、悩みや不安を解消することが目的だと思う方もいらっしゃると思います。しかし実際には、臨床心理士は問題解決を直接行うのではなく、患者さん・ご家族がご自身で問題を取り扱うことができるように支援する役割を担っています。完治することが難しい病気であればなおさら、症状の進行や生活の中でさまざまな問題や不安が起こってきます。考え方や感情、自分がどうありたいか、希望すること、大切にしているもの、問題解決の仕方などは人によって異なりますので、それぞれの人に合わせた方法で一人ひとりがその人らしくいられるようにお手伝いをしていきます。
カウンセリングを受けたいと思っても、在宅医療の中に臨床心理士がいることはそう多くはありません。そのため、まずは医師、看護師、ケアマネジャー、保健師など近くにいる専門職に相談してみてください。難病拠点病院や難病医療協力病院、難病相談・支援センター、保健所などに臨床心理士や相談員がいることがあります。カウンセリングを受けるためには、予約などの必要はありますが、特別な準備は必要ありません。なお、うつや不安によって日常生活に支障が出ている場合には、精神科や心療内科の受診も考慮しましょう。
遺伝カウンセリング
SCDには遺伝性のものがあります。自分や家族が病気にかかり、それが遺伝するかどうかの不安や、遺伝子診断を受けるかどうかなど、遺伝に関する問題について遺伝カウンセリングが行われています。遺伝カウンセリングは大学病院の遺伝子診療部などで行われていることが多く、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーなどが情報提供や対話を行いながら、遺伝に関する悩みや不安に対応し、支援していきます。
◆「登録機関遺伝子医療体制検索・提供システム」全国遺伝子医療部門連絡会議
※上記サイト名をクリックすると外部サイト「『登録機関遺伝子医療体制検索・提供システム』全国遺伝子医療部門連絡会議のホームページ」へ移動します。
遺伝子医療や遺伝カウンセリングを実施している施設を検索できます。
「疾患分類を選択」という項目から<神経・筋疾患>、小疾患カテゴリ<神経変性疾患>を選択。
◆「脊髄小脳変性症と遺伝子検査」田村智英子
※上記サイト名をクリックすると外部サイト「『脊髄小脳変性症と遺伝子検査』田村智英子のホームページ」へ移動します。
『全国SCD・MSA友の会ニュース』より引用
脊髄小脳変性症や遺伝子検査についての詳細が記載されています。
(原稿執筆 2016年7月)